Episode #008 T.K GARMENT SUPPLYと福井のものづくりのはなし
「捨てられてしまうモノを違う視線で観ていく、使いかたを変える、そして魂を入れ新しいものを作っていく。」
というポリシーのもと、リメイク商品の製作やヴィンテージ品から着想を得た雑貨など様々な商品を生み出している
福井生まれのブランド「T.K GARMENT SUPPLY」。
シェアパークはその想いに共鳴し、兼ねてから取り組んできた「オンワード グリーンキャンペーン」の一環として
プロジェクトを始動。想いを持って作られた商品にひと手間を加え、リメイク商品として新たに生まれ変わった商品が
どのように生み出されているのかを探るべく、企画チームが福井の工場を訪ねました。
|T.K GARMENT SUPPLYの誕生
―ブランド創立の歴史から福井での取り組みに対する想いを、代表取締役 竹内宏之社長におうかがいしました。
竹内:父の仕事である生地の卸売業を継いでから、30年ほど前にアメリカの古着の輸入卸売も始めたのですが、その仕事をしていくうちに、サイズ感や汚れ・破損など、様々な課題が出てきました。
それらを解決すべく試行錯誤していた中で、リペアをすることで“全く新しいタイプの商品として生まれ変わらせることが出来る”と気が付いたのです。これが「T.K GARMENT SUPPLY」を始めることになったきっかけです。
―ブランドを立ち上げた頃は、まだリメイクという言葉さえなかったそう。そんな時代からアメリカを拠点に古着や廃材を収集し続け、ニューヨークにある倉庫には様々な年代物の品がぎっしり。商品構想のアイディアを見つけるために、名だたるブランドがその倉庫を訪れるほどだそうです。
アメリカにある倉庫
イメージソースにしている年代物の雑誌
竹内社長が収集しているヴィンテージ雑貨
|福井の工場で作る“理由”
―ご自身も福井で生まれ育ち、モノづくりも全て福井の工場で製作されているとのことですが、そのようになったいきさつは何だったのでしょうか?
竹内:会社を継いで色々な工場や会社さんとお付き合いしていく中で、そのほとんどが自ら作り出した物が何になってどう使われているか分からず作っているという現状を目の当たりにしました。
それでは創る発想も出てこないし、技術の出しようもない。それをもっとOPENにして共に作っていくことで、商品を手に取ったお客様に喜んで頂き、作り手も喜びを感じることが出来る。そんな繋がりをつくりたいと思い日々皆様と働いております。
―そのような想いを持った竹内社長と共にモノづくりをしている方々の工場を見学させてもらいました。
|Print Factory ”英色彩”
―まず初めにお伺いしたのは、“シルクスクリーン印刷”と呼ばれる技法で衣料品や雑貨のプリント加工を行っている「Print Factory 英色彩」。 “シルクスクリーン印刷”とは、シルクの編み目状の版(スクリーン)に、上からゴムで圧力をかけてこすりつけることにより印刷する方法で、この印刷法は衣料品のプリント加工の大部分を占めています。こちらの工場では1日1,000枚ほどを手作業で行っているとのこと。
手作業での作業工程
ープリント業界30年、この道一筋の代表取締役 高橋良英社長にお話しをうかがいました。
高橋:竹内社長とはもう20年以上の付き合いで、一緒に仕事をし出したのは大体10年くらい前からです。竹内社長からの依頼は、正直同業他社が好んでやりたくない加工が多いです(笑)。特にタペストリーの加工は、かなり手間と時間のかかる作業なので。。ですが、それ以上に竹内社長と知恵を出し合いこだわって作り上げ、それが発注に繋がることにとても喜びとやりがいを感じますし、次はどんな加工をしようか一緒に考えるのがすごく楽しいですね。
左:タペストリーの版画 右:版画のプリントを施したタペストリー
ー高橋社長は、ワークショップの取り組みもされています。
高橋:たまたま知り合いのデザイナーがクラフトマーケットを主催しており、シルクプリントを少しでも理解していただけたら!という思いがきっかけで、2年ほど前から参加しています。クラフトマーケットでは、お客様自身にプリントを体験してもらうだけでなく、服飾学校の生徒さんもボランティアで参加しており、後継者育成等になればとの思いもあります。
高橋 良英 社長
ー今回の取材を通して、福井に対する想い、プリント技術に対する想い、そして竹内社長と高橋社長の確固たる信頼関係をうかがい知ることができました。
次回は、刺繍・鋳造製品・家具製造工場の取材内容をおとどけします。